2021年4月に新設した「がん治療・支援センター」は、これまで別々に組織されていたものを、がん治療に対して熱意を持ったさまざまな職種のスタッフを動員してつくったセンターです。従来のがん治療は、胃がんなら胃の専門科というように、がんが発生した臓器別で診ていました。しかし最近は、がん細胞自体の性質によって治療するゲノム医療が普及し始めています。このような流れもあることから、これまでの縦割りでの医療ではなく、科ごとの垣根の超えた高度な最先端のがん治療を提供できるよう努めています。
またこれは同時に、医師を育てることにもつながっています。私たちは遺伝カウンセリングの専門医も育てたいと思っているので、目指している方はぜひ当センターの門を叩いていただきたいです。
さて「がん治療・支援センター」は、その名に記されているとおり「治療部門」と「支援部門」の両輪で患者さんを支えています。高度な治療はもちろん、精神面や就労など、患者さんの人生をしっかりサポートできるセンターを目指しています。
当センターの特徴の一つに、緩和ケアセンターが挙げられます。ここでは診断の初期から患者さんに寄り添うのです。たとえ早期のがんと言われても精神的には大きなショックを受けるもの。しかし、がんサバイバー として治療をしながら生きていき、時には仕事もしていかなくてはならない。だからこそ痛みをとるだけではなく、精神的な面も含めたケアを行っています。この点は、これまでの緩和ケアの考え方と大きく異なります。
また当院は全国で55施設のみの、がんの拠点病院 高度型に認定されています。さらに、院内にはすべての診療科がそろっているので、合併症の場合も安心して治療していただけます。
がんの患者さんはご高齢の方が多く、さまざまな人生観をもたれた方がいらっしゃいます。病気だけを診るのではなく、患者さんやご家族の背景にも思いを馳せ、一人ひとりに寄り添った医療をお届けできるよう、センターのスタッフ一同努力してまいります。